学校における室内空気汚染対策について(抜粋)
学校における室内空気汚染対策について(通知) 15ス学健第11号 平成15年7月4日
学校の室内環境は安全で快適なものとする必要があることから、従来より、化学物質による室内空気汚染対策については、「室内空気中化学物質の室内濃度指針値及び総揮発性有機化合物の室内濃度暫定目標値等について(依頼)」(平成13年1月29日付け12国ス学健第1号)、「学校環境衛生基準の一部改訂について(通知)」(平成14年2月5日付け13文科ス第411号)等により適切な対応をお願いしてきているところであります。
また、このたび、居室内における化学物質の発散に対する衛生上の措置に関する規制を導入するため、「建築基準法の一部を改正する法律」(平成14年法律第85号)が平成14年7月に成立・公布され、平成15年7月1日から施行されました。
ついては、各学校等における最近の対策状況等をも踏まえ、下記のとおり、学校における室内空気汚染に関連する留意事項を取りまとめましたので、より一層のご配慮をお願いします。
さらに、このことについて、各都道府県教育委員会及び各都道府県私立学校主管課におかれては、域内の市区町村教育委員会又は所轄の学校及び学校法人等に対しても周知されるよう併せてお願いします。
記
1 「学校環境衛生の基準」における留意事項
- (1) 化学物質の室内濃度検査(以下「検査」という。)を行う際は、例えば、学校薬剤師を含む教育委員会関係者が立ち会ったり、信頼できる検査機関の選定に配慮するなど検査の適正確保に努めること。
- (2) 検査の状況については、保護者に適宜情報を提供すること。
- (3) 検査における採取の際の換気条件については、窓等を閉めて授業を行っている場合には窓等を閉めて行うなど通常の授業時の状態で行うこととしていたが、室内空気中における化学物質対策を推進していくためには、外気の影響を受けることなく測定することが必要であることから、今後、採取の際の換気条件については、窓等を閉めた状態で行うこと(この場合、児童生徒は在室させないこととすること。)
- (4) 測定方法については、測定技術の進展に伴い、「学校環境衛生の基準」に示している標準的方法と相関が高く、且つ、信頼性が確保できる簡便な測定方法が開発された際には文部科学省から情報提供を行うこととしていたが、この度、以下のホルムアルデヒドについての測定器を用いた測定方法は、文部科学省の検査の結果や、建築物における衛生的環境の確保に関する法律施行規則(昭和46年厚生省令第2号)に基づく告示(厚生労働省告示第204号)を踏まえ、今後、学校薬剤師の指導助言の下、スクリーニング法として使用することについては差し支えないと判断したところである。なお、この測定方法で基準値の2分の1を超えるところについては、「学校環境衛生の基準」に示した方法によって検査すること。
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スクリーニング法として使用しても差し支えない測定器
- FP-30(理研計器株式会社)
- 710(光明理化学工業株式会社)
- XP-308B(新コスモス電機株式会社)
- 91P及び91PL(株式会社ガステック)
- TFBA-A(株式会社住化分析センター)
- (5) 既存建物の室内空気中における化学物質対策を推進していくため、定期環境衛生検査の速やかな実施に努めること。
2 学校施設に関する留意事項
- (1) 建材等の選定について
学校施設の整備に際しては、今回の建築基準法の改正により、内装仕上げに使用するホルムアルデヒドを発散する建材の使用面積が制限されたこと、クロルピリホスを添加した建材の使用が禁止されたことについて留意すること。
また、使用する建材等については、日本工業規格(JIS)、日本農林規格(JAS)、MSDS(化学物質等安全データシート)等を確認し、室内空気を汚染する化学物質が発生しない、又は少ない建材の採用について配慮すること。
さらに、接着剤や塗料の選定に当たっては、トルエン、キシレンなど芳香族炭化水素系の溶剤を使用したものを室内に用いることはできる限り避けること
- (2) 機械換気設備の設置について
学校施設の整備に際しては、今回の建築基準法の改正により、教室等への機械換気設備の設置が原則として義務付けられたことについて留意すること。
また、その際には、校舎等全体の換気計画を検討するとともに、普通教室、特別教室等の教室の種類に応じた換気方式を選定すること。
さらに、機械換気設備については、日常的に運転させるとともに、定期的な清掃及び点検の実施について配慮すること。
- (3) 適切な工期の設定について
工事の発注の際には、十分な養生及び乾燥のための期間が確保されるよう、適切な工期の設定に配慮すること。
- (4) 適切な施工監理の実施について
設計図書で指定した建材や施工方法等の現場における確認など、適切な施工監理の実施に配慮すること。
- (5) しゅん功建物の適切な引き渡しについて
「学校環境衛生の基準」に基づく検査によりホルムアルデヒド等の濃度が基準値以下であることを確認させた上で引き渡しを受けること。
また、基準値を超過した場合は、原因の把握に努めるとともに、換気の励行や汚染源の除去等の適切な対策を講じること。
- (6) 学校用家具の適切な導入について
家具の選定時には、ホルムアルデヒドの放散量等の確認に努めるなど、室内空気を汚染する化学物質が発生しない、又は少ない材料の採用について配慮すること。
また、家具の搬入等によりホルムアルデヒド等の発生のおそれがある場合には、「学校環境衛生の基準」に基づく検査を実施すること。
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