ガス名 |
アルシン |
分子式 (化学式) |
AsH3 |
状態 |
気体 |
色 |
無色 |
臭気 |
非常に特徴的なニンニク臭 (または腐った魚のような臭い) |
燃焼 範囲 vol% |
4.0 から 75 |
爆発等級 |
– |
発火度 |
G1 |
アルシンの概要 |
- ・アルシン(Arsine、別名:ヒ化水素)は、化学式「AsH3」で表されるヒ素の水素化物です。常温では無色の気体で、非常に特徴的なニンニク臭(または腐った魚のような臭い)を持ちます。融点は約-117℃、沸点は約-62.5℃と非常に低く、空気よりも重い性質を持ちます(ガス比重2.69、空気=1)。水にはわずかに溶けますが、有機溶媒には溶けにくいです。光、熱、湿気によって分解しやすく、有毒なヒ素ヒュームを発生します。
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用途 |
- ・ヒ化ガリウム(GaAs)やヒ化インジウム(InAs)などの化合物半導体の製造におけるドーピングガスや原料ガスとして使用されます。有機金属気相成長法(MOCVD)やガスソース分子線エピタキシー法(GS-MBE)などのプロセスで用いられます。
- ・熱を加えるとヒ素が生じる性質を利用して、微量のヒ素を検出する「マーシュ法(Marsh test)」に用いられることがあります。
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危険 情報 |
- ・アルシンは極めて危険性の高い物質であり、毒物及び劇物取締法により「特定毒物」に指定されています。GHS分類では以下の危険有害性が示されています。
- ・極めて可燃性・引火性の高いガス:非常に引火しやすく、空気中で青白い炎をあげて燃焼します。
- ・反応性:強力な酸化剤と反応し、爆発的に反応することがあります。衝撃、摩擦、振動によっても爆発的に分解する可能性があります。加熱、光、湿気の影響により分解して、有毒なヒ素ヒュームを発生します。
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人体の 影響 |
- ・極めて毒性が強く、わずかな濃度でも吸入すると致命的となる可能性があります。
- ・アルシンが肺から吸収されると、血液中の赤血球を破壊し、ヘモグロビンを溶出させ、溶血性貧血を引き起こします。これにより、チアノーゼ(唇、耳たぶ、爪などの青紫色化)、脱力感、歩行の不正感、めまい、頭痛、吐き気、意識不明などの症状が現れます。重症の場合は、腎不全を引き起こし、死に至ることもあります。臭覚を麻痺させるおそれがあるため、臭いがあるからといって安全とは限りません。
- ・発がん性があるおそれがあります(IARC Group 1A: ヒトに対して発がん性がある)。
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