| ガス名 | 
塩化ベンジル | 
分子式 (化学式) | 
C7H7Cl | 
| 状態 | 
液体 | 
| 色 | 
無色 | 
| 臭気 | 
非常に強い刺激臭と催涙性 | 
燃焼 範囲 vol% | 
1.1 から 11 | 
爆発等級 | 
発火度 | 
G1 | 
| 塩化ベンジルの概要 | 
- ・塩化ベンジル(Benzyl Chloride)は、化学式 C7H7Cl で表される有機化合物の一種です。トルエンのメチル基にある水素原子が塩素原子に置換された構造を持ちます。無色の液体ですが、非常に強い刺激臭と催涙性を持ちます。融点は約-39℃、沸点は約179℃です。水には不溶ですが、クロロホルムやエーテルなど多くの有機溶媒には可溶です。空気や光に触れると分解しやすく、特に湿気があると加水分解してベンジルアルコールや塩化水素を生成することがあります。
 
- ・アルコールやカルボン酸のヒドロキシ基の水素原子をベンジル基に置換する「ベンジル化」反応の試薬として使用されます。これは、ヒドロキシ基の保護や、特定の構造を導入する上で有力な方法です。
 
- ・かつては、その強い催涙性から戦場で催涙ガスとして使用された歴史があります。
 
 
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| 用途 | 
- ・塩化ベンジルは、その高い反応性を活かして、有機合成において重要な「ベンジル化剤」として広く利用されています。様々な有機化合物にベンジル基を導入することで、医薬品、農薬、染料、香料などの製造における中間体として不可欠な存在です。しかし、同時にその強い毒性と刺激性から、取り扱いには厳重な管理と注意が求められます。
 
 
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危険 情報 | 
- ・塩化ベンジルは極めて毒性が高く、引火性も持つ物質です。日本では2016年7月1日の毒物及び劇物取締法の改正により、新たに「医薬用外毒物」に指定されました。
 
- ・強酸化剤、水、湿気、酸、金属(鉛、ニッケルなど)、可燃物と激しく反応することがあります。水と接触すると腐食性の塩化水素ガスを発生します。熱分解により、刺激性で有毒なガスや蒸気を放出することがあります。
 
 
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人体の 影響 | 
- ・皮膚に接触すると重篤な化学やけどを引き起こし、眼に接触すると強い刺激や重篤な損傷(失明の可能性も)を引き起こします。
 
- ・蒸気を吸入すると、眼、鼻、喉、気道に強い刺激と損傷を与え、咳、息苦しさ、咽頭痛、肺水腫などを引き起こす可能性があります。高濃度では、四肢麻痺、意識喪失などの中枢神経抑制作用が報告されており、生命に危険を及ぼす可能性があります。
 
 
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