ガス名 |
臭素 |
分子式 (化学式) |
Br2 |
状態 |
重い液体 |
色 |
常温・常圧では赤褐色 |
臭気 |
刺激臭(ギリシャ語の「悪臭(bromos)」が語源) |
燃焼 範囲 vol% |
– |
爆発等級 |
– |
発火度 |
– |
臭素の概要 |
- ・臭素(Bromine、元素記号: Br)は、原子番号35のハロゲン族元素の一つです。常温・常圧では赤褐色の重い液体で、刺激臭(ギリシャ語の「悪臭(bromos)」が語源)を持ち、揮発性が高く、室温でも赤褐色の蒸気を放ちます。非金属元素の単体の中で、常温で液体である唯一の元素です。融点は約-7.2℃、沸点は約58.78℃です。水には比較的よく溶け、アルコール、クロロホルム、エーテル、アセトンなど多くの有機溶媒に易溶です。天然には単体としては存在せず、海水や鹹水(かんすい)、カーナライトなどの鉱石中に臭化物イオンとして広く分布しています。
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用途 |
- ・臭素は、その高い反応性と特異な物性から、様々な化学製品の原料として非常に重要です。特に、難燃剤、医薬品、農薬、水処理剤、写真感光材料など、私たちの生活に密着した幅広い分野で利用されています。
- ・世界中で生産される臭素の半分以上が難燃剤として使用されています。臭素系難燃剤は、熱分解で発生する臭化水素(HBr)ガスが燃焼時の活性ラジカルを捕獲することで、主に気相で難燃効果を発揮します。特に電気・電子分野や建材関連で広く用いられます。
- ・プールや温泉などの水処理剤、殺菌剤、殺生物剤として、塩素の代替として使用されます。工業生産工程での藻やバクテリアの成長抑制にも用いられます。
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危険 情報 |
- ・臭素は極めて腐食性が高く、毒性も強い物質です。日本の毒物及び劇物取締法では「毒物」に指定されています。GHS分類では以下の危険有害性が示されています。
- ・金属腐食のおそれ:腐食性が非常に強く、ほとんどの金属(特にアルミニウムとは激しく)を侵します。
- ・非可燃性:臭素自体は燃焼しませんが、強い酸化剤であり、多くの有機化合物や無機化合物と激しく反応し、火災や爆発の危険をもたらす事があります。
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人体の 影響 |
- ・臭素は、その腐食性と毒性から、主に吸入、皮膚接触、眼への接触、経口摂取によって人体に極めて深刻な影響を与えます。
- ・吸入:蒸気を吸入すると、咳、喘鳴、息苦しさ、咽頭痛、鼻からの出血といった呼吸器系への強い刺激症状が現れます。症状は遅れて現れる事が多く、気管支肺炎、肺の化学性火傷、肺水腫、頭痛、めまい、悪心、呼吸困難、羞明(まぶしさ)、眼瞼痙攣、腹痛、下痢などが報告されています。高濃度では中枢神経機能障害や死に至る事もあります。
- ・皮膚への接触:接触すると直ちに重度の皮膚熱傷、痛み、発赤、水疱、組織の壊死などの重篤な化学やけどを引き起こします。小水疱や濃胞の形成もみられることがあります。
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