ガス名 |
酪酸 |
分子式 (化学式) |
C4H8O2 |
状態 |
油状液体 |
色 |
無色 |
臭気 |
バターが腐敗したような、または汗のような特有の不快な臭気 |
燃焼 範囲 vol% |
6.0 から 36.5 |
爆発等級 |
– |
発火度 |
G1 |
酪酸の概要 |
- ・酪酸(Butyric acid、別名:n-酪酸、ブタン酸、n-Butanoic acid)は、化学式「分子式:C4H8O2」「示性式:CH3(CH2)2COOH」で表される直鎖状の飽和脂肪酸の一種です。常温では無色の油状液体で、バターが腐敗したような、または汗のような特有の不快な臭気を持ちます。融点は約-7.9℃、沸点は約163.5~164℃です。水、エタノール、エーテルなど多くの有機溶媒と任意の割合で混和します。弱酸性を示し、多くの金属を侵食する性質があります。
- ・食品の風味成分として利用される一方で、その不快臭から工業的な取り扱いには注意が必要です。近年では、腸内細菌(酪酸菌)によって産生される短鎖脂肪酸として、腸内環境の改善、免疫機能の調節、大腸がんの抑制、糖尿病の予防など、人体の健康維持に重要な役割を果たすことが注目されています。
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用途 |
- ・香料の合成原料として、特にフレーバー用ブチルエステルの合成に用いられます。
- ・バターやチーズなどの乳製品に特有の風味を付与する成分として、食品添加物(着香料)に利用されます。
- ・幹細胞研究において、ES・iPS細胞の未分化能維持や分化誘導に関わると報告されている低分子化合物の一つとして研究されています。
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危険 情報 |
- ・酪酸は可燃性であり、皮膚、眼、気道に対して腐食性を示す危険な物質です。
- ・引火点(約72℃)を持つ可燃性液体であり、蒸気/空気の爆発性混合気体を生じることがあります。
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人体の 影響 |
- ・酪酸は、主に吸入、皮膚接触、眼への接触、経口摂取によって人体に影響を与える可能性があります。
- ・単回ばく露で肺に障害を起こすおそれがあります。反復ばく露による特定の標的臓器毒性に関する詳細な情報は不足していますが、胃の乳頭腫症や角質増生が報告された例もあります。
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